鬱病生活記

 表紙
 目次
 はじめに
 第一章

 第二章

 第三章

 第四章

 第五章

 第六章

第二章 精神病院での入院暮らし

2.現実への対峙

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【相手女性から電話、腹立つ!】

彼との対話を終え、と言うか、彼が出て行ってしまい、疲労が募ったのか、私はソファーで眠ってしまった。後の主治医の話によると、事前に飲んでいた『レボトミン』と言う薬は、結構強いものらしく、普通の人であれば、これを飲むと直ぐに寝てしまうらしい。
でも、私は『レボトミン』を飲んでから、彼が出て行くまで、約2時間は経過していたと思う。
彼が出て行ったのは、午後5時くらいだったと記憶している。

疲れて眠っている中、何度か自宅電話や携帯電話のベルが鳴ったのを覚えている。
でも、動けずに電話に出る事は出来なかった。

何度目かの電話は、自宅にかかってきたものだ。
午後7時くらいだっただろうか、ようやく動くことができるようになり、電話に出てみると、なんと彼の相手の女からではないか。
「大丈夫ですか?」といきなり問いかける。
「はっ?何であなたが電話してくるの。ふざけんじゃない。」と思った私は、彼女に対して「あなたは内縁関係にある私の彼の浮気相手なのだから、あなたからそんな事を言われる筋合いはない。ふざけるな。」
そんな事を、朦朧とした意識の中で答えた。
すると相手は、「そうですか。」と淡々と答えた。
怒りの治まらない私は、「あなたは内縁関係の男に手を出したのだから、私は裁判なり何なりして慰謝料をあなたに対して請求することができる。」との旨を伝えた。
するとその相手は、「彼は、あなたと何度も別れようと試みたにも拘らず、あなたが一方的に認めなかったのでしょう。内縁関係なのかどうかも法廷で争いましょう。」
そんな言い方をしてきた。


はて、私は彼から何度も別れようなどと言われた記憶は無い。2月3日の夜に、長電話をする彼を問い詰めた時に、彼が「別れよう。」と言ったのは確かだ。しかし、翌日の2月4日に、お互い冷静に話をした時は、結婚やら子供が欲しいやらの話が出て、彼は「私との結婚についてはもう少し考えさせてくれ。」と言って結論は保留のままになっていた。そして、その結論を出されたのが、2月23日。私が大量服薬をした前日の事。

彼は、相手の女に、自分の都合の良いように色々と偽って説明しているのだろう。何度も彼が別れをせがみ、私がそれを拒み続けていた事実は無い。
実際、どうしてもと言う事で別れを言い渡された2月23日は、会社にも行っている。彼が他の女性と恋仲になった事実が無ければ、すんなり別れていたかもしれ無い。
彼は、四方八方に嘘を並べ、自分自身も含め色々と誤魔化しながら、自分を悲劇の主人公に仕立て上げ、女性の好意を引き付ける能力があるのだろう。魔性の男と言っても良いかもしれない。外見は大して褒められたものでもないのに.。


朦朧とした意識の中、私は相手の女性に、こんな攻撃的な話をして電話を切った。

その後、携帯や自宅電話の着信履歴を見てみると、親とか彼とかから、何回か電話があったらしい。ただ眠っていただけの私だが、また大量服薬でもしたのではないかと危惧されているかもしれないと思い、両親には「寝ていただけ。」と連絡を入れた。

でも、こんなタイミングで両親から電話が何度も入っている事を考えると、彼が私に電話をしても出ないので、両親にも「自殺未遂しているかも。」みたいな感じで、事を伝えたのではなかろうか。

でも結局、うるさい電話のベルで起こされてようやく出ると、相手は例の女性。彼は、もう私と連絡すら取りたくないのだろう。

別れ話も収拾がつかないままで、何ともずるい逃げ方である。


電話のベルで起こされた私は、再び寝る事などできず、主にテレビでスポーツ観戦をしながら時間を潰した。そして、夜10〜11時くらいに、就寝前の薬を飲んで、その日を終えた。


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