鬱病生活記

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 目次
 はじめに
 第一章

 第二章

 第三章

 第四章

 第五章

 第六章

第五章 鬱病再発生

1.再入院

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【繰り返し】

暫く、このサイトを更新していなかった。
それは、する必要が無くなっていたから。
2月〜3月頃は、眠れぬ日があり、仕事を休む事もしばしばあった。
しかし、それ以降は、睡眠薬無しで眠れるようになり、仕事も休まず行けていた。
薬は全て飲まなくなっていた。
それでも平気で仕事に行き、更には正社員として雇ってもらえる職場に移り、経済的にも自立できるめどが立っていた。
その頃には、鬱病の事など頭に無かった。
結局、鬱病は「甘え」か「気のせい」と自分でも思えていた。
そして、このサイトとの存在と過去の体験など忘れたかのように、平然としていた。

そのつもりだったのだが、やはり私は何処かしくじったらしい。

正社員となって1ヶ月あまり経った頃から、会社へ行く事がとても億劫に感じていた。
仕事自体は全く問題ない。自信の能力では持て余すほど簡単な作業だった。
だが、会社の動きについては、非常に苦痛だった。
人間関係、仕事の割り振り、経営者と労働者の隔たり。
私が考える必要の無い事と言えばそれまでだが、私はそれらが非常に気に掛かっていた。
脳が活動している大半の時間は、そんな事を考えてしまう。
「考えてもしょうがない事」だから、「考えないように」努めているつもりだった。
出来るだけいい加減に物事を捉えるようにもしていた。
でも、頭は勝手に働いてしまう。

ある朝、「これはまずい」と思い、父親へ「調子が悪い」と連絡した。
翌朝、父親が私のところへやって来た。
会社に行くのを辛そうにしている私に向かって、父は「無理するでない」と声をかけた。
私はそれに「甘え」てしまったのか。
また、この日は主治医の診察日であったので、「病院へ行ってみよう」とも考えた。
結局、この日、会社を休み、数ヶ月ぶりに主治医の診察を受けた。
主治医は、「確かに元気が無いね」と言い、これまでと違った薬を出した。
副作用として「食欲が出る」というものだった。
私は、この日までろくな食欲が無かったので、余り物を食べていなかった。
1〜2週間で4キロほど痩せていた。
出された薬を飲みつつも、「効果が出るのは2週間くらい経ってから」と言う事に焦っていた。

この日から、狭いワンルームに父が同居するような形となった。
この週はその後何とか会社に行けた。
しかし、翌週会社に行く事を考えると非常に辛かった。
「どうしようもない事」なのに、「どうにか出来る、どうにかしよう」としてしまう私が居る。
隙があれば脳は勝手に働き出し、私にストレスを蓄積させていく。
週末、休みの日。
時間が経つ事が恐ろしかった。
時間が止まって欲しいと切願した。「どうしようもない事」なのに。

私は気を紛らわせる為、「睡眠薬」を飲んだ。
以前、眠れなかった時期に処方されていた薬の余りだった。
「睡眠薬」を飲んだが、眠くならない。
私は、何も考えないようにする為、眠りたかった。
さらに、「睡眠薬」を飲んだ。今度は、もっと多く飲んだ。
そんな事を何度か繰り返した。

いつの間にか、寝ていたのか。
目が覚めた時にタバコを吸った。
タバコの火を消す時、「情け無い私」を戒めるかのように、所謂『根性焼き』を行った。
そんな事を何度も繰り返していた。

私が正気に返ったのは、火曜日の朝。
月曜日は無断欠勤してしまっていた。
腕には、『根性焼き』で出来た赤黒い水ぶくれが、数十箇所あった。
「もう駄目だ。私は駄目な人間だ。」
何もかも嫌になり、投げ出して、ボーッと阿呆のように呆けていた。
父は、そんな私を見て「会社に行くか、病院に入院するかしろ」と怒鳴った。
呆けている私の姿に腹が立ったらしい。

私は必死で家を飛び出した。
何処かで飛び降りようと思っていた。
少し歩き、人気の無い公園のベンチへ腰ををろした。
「死ぬ事」について考えていた。
「私が死んだら親が悲しむだろう。しかし、それは仕方が無い。自分達の子なのだからある程度親にも責任があるだろう。」
しかし、私は彼の事を考え踏みとどまった。
「私が死んだら、彼が自分の責任だと考えて、辛くなるだろう。彼を苦しめたくは無い。」
そう思い直し、私は帰った。

同居していた彼は、結局、私と復縁と言うような関係になっていた。
別居した後、暫くしてから彼から連絡があり、何故か仲直りしていた。

家に帰る途中、偶々、車で移動中の父が私を見つけた。
私は車に乗り父へ「入院する」と言った。
早速、病院へ行き父が医師に私の病状を説明した。
どうやら私は、「拒食」で「自傷行為をした」らしい。
病院も準備を整え、私は翌日から、入院する事となった。

こうして私は、また同じ、あの閉鎖病棟へ舞い戻る事となってしまった・・・。


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