第二章 精神病院での入院暮らし
1.精神病院生活記
4/13(月) 8:00頃
【人間関係は難しい】
人はジグソーパズルの1ピースのようなものだ。
自分の左右、上下はうまく繋がるが、自分が居なければ、それらはバラバラ。
自分の友人と友人同士が友達になるとは限らない。むしろ、うまくいかない時の方が多いのではないか。
ここの患者同士もそうだ。色々人間関係がある。
人脈、人間関係。難しいものだ。
4/13(月) 8:20頃
【熱いお茶が美味しい】
タバコを吸おうとタバコ部屋に行ったが、その後、水
分補給の必要性を感じ、熱いお茶を2杯飲んだ。
うまかった。
体の芯まで熱くなる。ここで手に入る茶の質など大した物では無いのだろうが、やはり、茶は上手い。
(薬の副作用で、のどが渇く、唇が荒れるというものがあるので、水分を欲するのはそのせいもあるだろう。)
4/13(月) 9:00頃
【タバコは一人でゆっくり吸うに限る】
タバコ部屋の角の隅に背中をつけタバコを吸っていた。4本吸った。吸ったといっても、最初のうちは周りの人たちとの会話もあったので、喋っている時間の方が長かったから、効率的には吸えていなかったのだろう。
私は会話を辞め、一人静かにタバコに専念しだした。
落ち着く。うなだれると楽なもので、だんだんと深くうなだれて行った。タバコを吸いながら。
コンクリートの壁が冷く、何とも言えない心地よさを背中に感じる。
気が楽になる。
頭の中がスーッとして、とても気持ちが楽になり、それに浸っていた。
多少の人の出入りなどがあったが、それも気にならない。
タバコを吸い、灰皿に手を伸ばし、うなだれる。
その繰り返し。
何とも言えない心地よい時間を過ごした。
4/13(月) 10:00頃
【慌ただしい風呂での交流】
タバコ部屋で『ひろさん』と話をした。
今日の午前中は風呂がある。部屋毎に入る順番が決まっている。『ひろさん』の部屋の次は私の部屋。偶々そんな順番になっていたものだから、『ひろさん』は最後の方まで粘る、私は真っ先に入る、という事にし、一緒に風呂に入ろうと約束した。
時間が来ると、早速風呂の支度をし、風呂場前で待機する私であった。
そして、順番が来たらしく、私は風呂に入った。『ひろさん』は既に湯船に浸かっていた。
目が合った。
さっきの約束覚えていてくれたみたいで、『ひろさん』は私の背中を流してくれた。既に『ひろさん』は他の仲間に背中を流してもらったと言っていたけれど、こちらだけでは私も面目ないので、申し訳程度に軽く彼女の背中を流した。
その後、久しぶりに湯船につかった。これまで、シャワー生活が基本だったので、久しぶりの湯船は気持ちがいい。
もっと入っていたかったのだが、浴槽は今居る3人でギリギリ一杯。そこへ、もう一人体を洗い終え、湯船につかりに来たので、私は出た。
久しぶりの入浴(湯船につかる事)は、気持ちが良かった。
4/13(月) 11:50頃
【食欲改善の兆し】
12:00に昼飯が来る。
私は、タバコ部屋でゆっくりとそれを待っていた。“最後の一本”と決めていたタバコを吸い終えても、例の配膳車は来ない。
トイレに行き手を洗い、風呂で使った乾かしかけのタオルを首にかけ、お茶を入れるコップを持って、お茶を入れ、席に着いた。
すると、ようやく配膳車がやってきた。
御飯が今までよりちょっとだけ美味しく感じた。これまでは、ある種の義務感で食べていたのだが、
中々食べごたえがあった。そういえば、今日の朝食もこんな感じだったかもしれない。
食欲が回復しているのであろうか、そうであれば普通の人間に戻りつつある。
少しの希望を見出した。
4/13(月) 14:00頃
【穏やかな午後の散歩】
スズメ達の会話、風が奏でる演奏に踊る木々。
そんな空間に、じんわりと浸る。
青天の今日、午後の一番暖かい時間に散歩に出た私は、病院の敷地を隔てるフェンスに寄りかかり、
限りある一時を過ごした。
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