第三章 鬱病者としての日々
3.孤独に未来へ活動
8月19日(水) 12:30頃
【落ち着かない、だからこうして書いている】
忙しかった五日間の話の続き。
三日目、8月16日(日)は、近くに住む親戚一家から「食事に行きましょう。」と誘いを受け、私はそれを承諾していた。
この親戚夫婦は、娘さんと奥さん側の母(おばあちゃん)、そして、2匹の猫の6人暮らし。
私は、この一家の主と叔父の関係であり、中学時代や、高校時代に、数日間泊まらせてもらったりしていた。
私が、大学生や社会人になってからは、あまり交流が無かったのだが、この度、“大量服薬”という事件を起こした時、両親が駆けつけ、母がこの親戚夫婦に相談していたものだから、面倒見の好きな叔父は、どうやら私の事が気になっていたようである。(私の叔父は母の弟)
叔父は、これまでも、私にメールをくれて様子を伺う様な事もあり、そんな流れで、この日に食事に行く事になっていた。
当日、「昼食を一緒」にと言う事になていたので、私は、7頃に眼を覚ましてから、軽く朝食を済ませ、デパスを飲み、叔父からの連絡を待ちながら、転居先の物件をインターネットで探し始めた。
こうして、予定がある時は、覚醒するのが早い事を、改めて自覚した。
何時もなら、起きてから何か作業しだしても、頭がハッキリしなくて、床に戻る事が殆んどなのだが、この日は違い、熱中して物件を探しが出来ていた。
結果、候補として2件の物件が見つかり、1件は「ペットが飼えるか否か」が不明だったので、早速、不動産会社に連絡をし、確認をしてもらう事にした。
そう、私は、転居先で「出来れば猫を飼いたい。」と思っているのであった。
そんなこんなで午前中を過ごしていたが、中々叔父からの連絡が無い。
「昼食の筈だから、そろそろ連絡があっても良いのに。」
そんな思いを抱き時を過ごしていると、13時半頃に、ようやく叔父からメールが入った。
「調子はどうですか?悪いようなら無理しないで下さい。」
そう言う内容だったので、私は、「全然、問題ないです。」と返答し、叔父は、「じゃあ、これから出ます。」と返してきて、このマンションに着いた頃は、14時半くらいであった。
叔父は、奥さんと娘さんと一緒に車で来ているようで、「着きました」と連絡を受けると、早速、マンションの外に出て、車に乗せて貰った。
叔父の家族と直接顔を合わせるのは、15年ぶりぐらいである。
娘さんは、今や大学生。
私は、「最後に会った時は、小さかったよね。随分大きくなったね。」等と会話をしながら、車で移動を開始していた。
私は、叔父に「何処か場所は決まっているんですか?」と訊ねると、叔父は、「そうだね、ここから車で1時間位かかるけど、イタリアンで良いところがあるから。」と目途は付けているようであった。
そんな車内で、私の携帯が鳴った。
午前中に「ペットが飼えるか否か」を確認してもらう事になっていた、不動産会社からの連絡だった。結果は、残念な事に、ペット不可との事。
その電話を終えると、叔父は「引っ越すの?」と私に尋ねた。
既に事の経緯について、叔父は把握済みだったので、「ええ、実は昨日、彼と『示談』が成立したので、早速、今日の午前中、物件を探していたんですよ。猫が飼いたいので、出来ればペット相談可の物件を探しているんですけどね。」と私は答えた。
叔父は、「猫は良いよ!」と猫好きを前面に出したアドバイスをくれた。
こんな風に、車の中では、多少、叔父の家族と会話しながら過ごしていた。
私は元来あまりしゃべる方では無いのに対し、叔父の家族は仲が良く、会話が尽き無いようであった。
目的地に着いたらしく、叔父は駐車場を探して、辺りの路地をグルグル回っていた。
しかし、中々空いている駐車場が無く、急遽、予定を変更。
奥さんが、「お盆休みかも知れないから。」と言いながら、行きつけのお店に「今日は開いてますか?」と電話で確認すると、17時から開店のその店は、やっているようだった。
時刻は、15時半か16時くらいになっていた。
ここから、その店に移動するまでは一時間位。
開店時刻丁度に、その店へ付く来きそうなので、そこに行く事になった。
そして、また、短いドライブを続け、その店へ着いた。
ドライブ中、賑やかな叔父の家族に比べれば、私は物静かであったが、決して『うつ状態』と見られるような様子では無かったと思う。
私も人と居る時は、そんな気配など自覚する事は無い。
ピザが美味しいその店で、早めの夕食となってしまった食事を終えると、近くの繁華街をぶらぶらした。これが、叔父一家の外食後の行事らしい。
私も一緒にぶらぶらしながら、叔父家族は、「ここに来た時に必ず寄る。」と言うスーパーで買い物を済ませていた。
さて、帰りの車の中で、「家に寄って行く?」と叔父から誘いを受けた私は、予定より大分時間も遅くなっていたが、帰ったところでボーッとしているだけなので、「う〜ん、そうですね。猫に会いたいから寄らせて下さい。」と答え、19時頃だったろうか、叔父の家へ久しぶりに上がらせて貰った。
叔父家族は、早速、家の何処かに居る猫達を探し始めた。
2匹とも雌猫で、どうやら姉妹らしいとの事。
そして、彼女達は、かなりの「ビビり屋」だと言う。
早速、一匹見つかり、叔父が抱えて、私の方へ、連れてきてくれた。
叔父から彼女を渡されると、私も抱こうとした。
しかし、私が抱きかかえるや否や、彼女は、私の腕の中をすり抜け、バーッとその場から離れて行ってしまった。」
私と叔父は笑いながら、「本当にビビリですね。」と話した。
暫くすると、娘さんがもう一匹を見つけたらしく、抱きかかえたまま、私にその猫を紹介してくれた。
娘さんの腕の中の彼女は、目をまん丸にして、私の顔を凝視する。
「やっぱり、姉妹だけあって、彼女にもかなり警戒されているな。」
そう感じたので、抱こうとはせず、彼女の鼻先に人差し指を出し、軽く挨拶を交わした。
1時間ぐらいだっただろうか、叔父の家で、猫の警戒心が解けるのを待っていたのは。
結局、この日は、2匹の可愛い彼女達が私を受け入れてくれる事は無かった。
そして、私は、「そろそろ帰ります。」と言うと、ドライブが好きなのか、叔父一家は、皆でまた車に乗り、私を送ってくれた。
結局、この日、マンションに戻ったのは、21時頃だったように思う。
私は密かに、「絶対猫を飼う!」と決意し、午前中に見当を付けていた、ペット相談可である物件に望みを託した。
思いついたらすぐ実行である。慌ただしい私は、早速、このマンションから遠くない場所にあるその物件を見に行こうと、インターネットで調べ、大体の地区を特定し、明日、外からその部件を見る事にした。
この時、
時間は、まだ22時前。
何をしようか考えた挙句、前々日に買っていたカレー用の食材がある事を思いつき、
カレー作りに取り組んだ。
いつものように手抜きな作り方ではあるが、
何故か「灰汁取り」は入念にする。
出てきた灰汁を取る事に集中出来るのだろう。
それで気がまぎれるのだろう。
私は、灰汁取りをしながら、そう感じていた。
このところ、私は「忙しい」と言いながら、「その方が良い」とも感じていた。
だから、この様に、「他愛もない忙しかった日々の事を、このホームページに書く。」と言う行為で、更に忙しくしているのである。
何もしないでいると、逆に落ち着かず、ソワソワしてきて耐えられない。
でも、一度に色々と「あれをして、これをして、ああして…」と考えながら行動していると、途中で「あれっ、何だっけ。何かしようと思っていたけれど…」と一瞬忘れるような事が良くある。
「何か忘れている。」との感じは残っているので、いつも何とかそれを思い出し、やり溢す事は無いのだが。
どうも、落ち着きが足りない。それは、自覚できる。
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