鬱病生活記

 表紙
 目次
 はじめに
 第一章

 第二章

 第三章

 第四章

 第五章

 第六章

第三章 鬱病者としての日々

2.調停待ちの日記

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8月9日(日) 0:00頃

【治まらない動悸、半狂乱】

今日は、早めに、寝る前にこの行事を終わらせて貰う。
明日は、書けない可能性が高いから

今日、メールで元同居人と『示談』について遣り取りを行った。
その結果、彼が明日、このマンションにやってくる事となった

私は、昨日の日記を書き終えた後、そう、20時過ぎから21時頃まで、このサイトの改修作業を行っていた。我を忘れる為に。

その後、腹が減ったので、餡パンとコーヒー牛乳を腹に押し込んだ。
そして、『デパス』を飲んだ。この日は、これで3回目である。

結局、2回目の『デパス』服飲後、寝る事は無かった。
3回目の『デパス』を飲んでも、今だに寝ていない。

『デパス』を飲んだ後は、流石に疲労感が否めないので、サイトの改修作業は再開出来ず、テレビのチャンネルを回しながら、ダラダラとしだした。
特に、頭の使わないお笑い番組などを眺めて、22頃時まで、気を紛らわせていた。
その番組も終わり、気が紛れなくなったせいか、私は、落ち着きが無くなってきた。
動悸がどんどん速くなる。タバコを吸っても、ちっとも心地良くならない。

更にテレビのチャンネルを回していると、情報番組で、酒井紀子さんの情報を流している物があった。それを見ていると、「死んで無くて良かった。」、「でも本人も麻薬に手を出してしまっていたか。」、「きっと、辛い事が多かったのだろう。」、「神経的に参り易い人間は、精神病に近い。精神病に近い物は、天才的な能力を秘めている場合がある。彼女もその類かもしれない。」、「やはり可哀想。」
そんな事が、どんどん頭の中を駆け巡り、動悸がさらに激しくなって来た。

番組では、酒井紀子さんの報道を終えると、今度、押尾学さんの報道に変わった。

残念ながら、押尾学さんの事は良く知らないけど、彼は嫌いだ。(何の根拠もないが、直感的に。)
これまた、私の直観的解釈だが、彼の場合、「精神年齢が幼稚すぎるので、合成麻薬で遊んでいた。」と思っている。だから、正直、どうでも良い。「刑務所で反省しろ。もっと、大人になれ。」と批判的な思いしか無い。(押尾学さん、御免なさい。何も知らないのに勝手な事を言って。)

その報道が始まるや否や、イラつき、私は居ても立っても居られなくなった。
そして、丁度、23時ぐらいだったので、夜の薬を飲んで、落ち着こうと思った。
しかし、薬を飲んでも何も治まらない。
頭が半パニック状態で思いっきり叫びたい気分だったが、気が小さい私は、隣近所の迷惑を考え、なんとかその衝動を抑え込んだ。

そんな時、部屋の片隅にある、最近随分御無沙汰のベースが目に入った。
このどうしようもないエネルギーの発散先は、「これだ!」と直感し、早速、機材のセッティングを行い、お気に入りのDVDを流し、一緒にベースを弾きまくった。
弾いている様は、外から見れば、半狂乱状態だったろう。
ぐるぐる回るし、突然膝をつく等で、汗をかくほど運動していた。
尤も、久しぶりのベースであり、うまく音を鳴らす事などできなかった。
そんな、雑音混じりのベースでも、とにかく気の向くまま、ガチャガチャ弾いていた。

これが、功を奏したようだった。
30分ばかり、ベースを弾きながら運動した事で薬が体に回ったせいか、一緒に聴いていた音楽が良かったのか、大部楽になり、今、こうしてこれを書けるようになった。

今日、特に落ち着かないのは、明日の事が頭から離れないせいだ。
おそらく、明日の話し合いの結果では、身動きが取れなくなる可能性もあるので、今の内に日課としているこれを書くに至っている。(前回の話し合いの時も、彼が出て行ってから、疲れ果て数時間ではあるが、眠ってしまったものだから。)

ちなみに、ベースを止めた直後、不図、主治医の事が頭に浮かんだ。(昨日の日記に主治医の事を書いたせいだろうか?)
正直、主治医の私に対する対応は、他の患者に比べ比重が軽かった。
だが、私は、別にそれを嫌だとも思っていなかった。
だって、私の症状は他の者達に比べ軽い物だと自覚しているから。
そして、主治医の立場になって考えてみた。
これまでは、専ら、私との関係でしか主治医の事は考えていなかった。
その時は、「ちょっと楽観的すぎる感じの人だな。でも、悪い人では無さそうな感じだから良いか。」と言う感じに、軽くしか考えていなかった。
でも私が主治医なら、私の様な患者に、同じ対応をするだろう。
それは、もっと重症の、それこそ下手したら自殺するような患者がウヨウヨ居るからだ。
そう考えると、突然、私は笑いだした。
「ははは、先生、あんたは正しいし、私が思っていた以上に。そして私に見せている時の態度とは裏腹に、本当は、熱心でまじめな性格なんだろう。」
そう思うと、笑いが止まらなかった。
確かに、私は、今回の件では死なない。
それよりも、本当に苦しんでいる、下手したら死んでしまうような患者に比重を置くべきだ。
死ぬか生きるかの境界線上に居る人を優先するべきだ。
「先生、あんたは真面目だよ、正しいよ。」
そう思いながら、笑いが止まらなかった。

薬を飲んで、ベースを目茶目茶に弾いて、ちょっと疲れた頭で、本当の事に気が付いたのが面白かった。
ちょっと、今は、半狂乱気味。
実は、鬱だけでなく躁も隠し持ってたりして…。


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